助産師として働いている方でも「日本に何人の助産師がいるのか」「平均年齢はどれくらいか」「どの地域で不足しているのか」など、詳細なデータをご存知の方は少ないかもしれません。
そこで今回は、厚生労働省のデータを引用しながら助産師さんの実態を紐解いていきます。今後、助産師として活躍していく上での参考にしてください。
日本で活躍する助産師さんの数は?
はじめに、平成20年から平成30年までの助産師数の変化について見てみましょう。
平成22年:29,672人
平成24年:31,835人
平成26年:33,956人
平成28年:35,774人
平成30年:36,911人
平成22年:23.2人
平成24年:25.0人
平成26年:26.7人
平成28年:28.2人
平成30年:29.2人
実は、助産師の数は年々増加傾向にあり、平成20年には27,789人でしたが平成30年には36,911人と33%ほど増加しています。
また、人口10万人に対してどれくらい助産師がいるかを示すデータでは、平成30年には29.2人ともっとも高くなっています。
助産師さんはどこで勤務している?就業場所ランキング
では、助産師さんはどのような現場で活躍しているのでしょうか。
2位:診療所 8,148人
3位:助産所 2,103人
4位:看護師等学校養成所又は研究機関1,533人
5位:市区町村 1,273人
6位:保健所:368人
7位:その他:206人
8位:社会福祉施設:24人
9位:事業所:23人
10位:都道府県:18人
11位:訪問看護ステーション:16人
助産師の就業場所でもっとも多いのは病院の23,199人で、全体の62.9%を占めています。
反対に言えば、およそ3人に1人は病院以外の現場で活躍していることがわかります。2位の診療所は8,148人で全体の22.1%で、助産所は2,103人で5.7%ほど。
また、「看護師等学校養成所又は研究機関」で勤務する方が1,533人で4.2%ほどいるのも特徴的です。
助産師さんの雇用形態
では、現場で活躍する助産師さんは、どのような雇用形態で働いているのかを見てみましょう。
非正規雇用:6,982人(18.9%)
派遣:65人(0.2%)
平成30年の時点で、正規雇用で働いている助産師の数は1,001,542人。助産師の8割以上の方が正規雇用で働いていることがわかります。
一方で、非正規雇用・派遣を合わせると全体の19.1%ほど。およそ5人に1人の助産師が非正規で勤務していることもわかります。
助産師さんでもっとも多い年齢層は?
次に、助産師さんの年齢層について見てみましょう。
一般的には「助産師さんは、高齢でベテランの人が多い」というイメージがありますが、このデータから若い方が活躍していることがよくわかります。
25~29歳:5,653人 15.3%
30~34歳:4,897人 13.3%
35~39歳:4,924人 13.3%
40~44歳:5,129人 13.9%
45~49歳:4,599人 12.5%
50~54歳:3,851人 10.4%
55~59歳:2,760人 7.5%
60~64歳:1,638人 4.4%
65歳以上:1,293人 3.5%
年齢階級別に見ると助産師数がもっとも多いのは25~29歳で全体の15.3%。25歳未満を含めると7,820人、21.2%が30歳未満です。
このことから、出産を経験していなくても、現場で活躍している助産師さんがたくさんいることが推測できます。
人口10万対就業助産師数
最後に、都道府県別の「人口10万対就業助産師数」のデータを紹介します。
1位:島根県 47.9人
2位:鳥取県 42.7人
3位:長野県 42.5人
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45位:三重県 24.8人
46位:広島県 24.1人
47位:埼玉県 23.1人
一方、もっとも人口10万人に対する助産師数が少ないのは埼玉県で23.1人。これは、全国平均よりも6.1人少ない数字です。さらに、東京(29.6人)を除く首都圏では、千葉が23.9人、神奈川が25.5人といずれも全国平均を下回っています。
もし、転職などを検討している場合には、「人口10万対就業助産師数」などを参考にしながら勤務地を選ぶのもいいかもしれません。
*出典:厚生労働省 「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/18/dl/gaikyo.pdf