新型コロナウイルスの流行を受けて、医療機関の院内感染対策を担う「リンクナース」に注目が集まっています。
看護師さんの中には、リンクナースという言葉を聞いたことはあっても、具体的な役割や仕事内容、通常の看護業務との違いなどがわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、感染症管理の中核的なポジションを担う「リンクナース」の役割と仕事内容について解説します。
リンクナースは専門チームと臨床現場のつなぎ役
リンクナースは、イギリス発祥の「院内感染管理対策システム」で提唱された看護師の役割を指します。
専門的な対策が求められる感染症において、専門家(専門チーム)から知識を学び、医療現場での院内感染防止対策につなげる(リンクさせる)ことが、リンクナースの主な役目です。
リンクナースの役割とは?
リンクナースの役割は、医療機関内に設けられた「院内感染対策チーム(ICT:Infection Control Team)」などの専門チームと連携し、病棟での感染対策を推し進めることです。
専門チームからの感染症に関する情報・最新知識・技術などを医療現場に伝える一方で、現場の課題を専門チームに提言し、組織的な感染対策を行う上で重要な役目を担います。
当初は、院内感染管理を目的としてスタートしたリンクナース制度ですが、現在は感染症対策以外の分野でも活用が拡大しており、「栄養サポートチーム」「褥瘡対策チーム」「リスクマネジメント委員会」などの専門チームと医療現場をつなぐリンクナースが配置され、チーム医療の有効なシステムとして機能しています。
リンクナースの仕事内容は?
リンクナースの主な仕事内容は、専門チームとの連携(ミーティングへの出席、情報交換など)を行い、得られた知見を病棟スタッフに周知・教育することなどが挙げられます。
また、看護師として日常業務をこなしながら現場の問題点を洗い出し、専門チームと共有することもリンクナースの重要な役割の一つです。
リンクナースの人員は、医療機関やリンクナース制度の規模によっても異なりますが、おおむね各病棟に一名(もしくは複数名)が配置されるケースが一般的です。
リンクナースとして働くメリットは?
リンクナースとして働く一番のメリットは、病院全体の看護の質向上や看護師のレベルアップに貢献できることです。
リンクナース制度を推し進めている病院であれば、報酬アップやキャリアへのプラスに繋がるケースも多いでしょう。
また、認定看護師や専門看護師を目指す場合は、目標とする分野でのリンクナースの経験を積んでおくと知識と経験を深められます。
リンクナースになるには?
リンクナースは、病棟内などの看護師から選出されるケースが一般的です。
選ばれるのは一定年数以上のキャリアを積んだベテラン看護師であることが多いようです。
リンクナースを目指す場合、まずはリンクナース制度のある医療機関に務め、院内研修などに参加しつつ感染症対策や褥瘡対策といった希望する分野の専門知識を深めておくと良いでしょう。
また、看護師長などのキャリアについて相談できる相手に、リンクナースに興味があることを知らせておくのも良い方法です。