結婚を機に配偶者の扶養に入ったり、事情があり一時的に親の扶養に入ったりする看護師さんも少なくありません。扶養から外れると所得税や住民税、社会保険料を自身で支払う必要があるため、「扶養の範囲内で働きたい」という方もいるでしょう。
そこで今回は、扶養の基礎知識を紹介した上で、扶養の範囲内で働くためのポイントとコツを紹介します。
扶養の基礎知識
扶養とは、自分だけでは生活を維持できない人を養うことを指します。扶養には2つの種類があり、扶養される人を健康保険法では「被扶養者」、所得税法では「扶養親族」と呼びます。それぞれ、扶養となるための条件は異なります。
【健康保険上の扶養】
健康保険上の扶養になれば、配偶者などの扶養者の社会保険に加入でき、保険料の負担を抑えることができます。結婚をして、専業主婦(夫)になる方は、配偶者の被扶養者となるケースが少なくありません。
対象となるのは、以下に該当する人です。
・内縁を含む配偶者
・子ども
・孫
・兄弟姉妹
・父母
【所得税法の扶養親族】
一方、所得税法の扶養親族は、配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)であることが条件です。さらに、合計所得金額が38万円以下であり、納税者と生計が同じである必要もあります。
覚えておきたい2つの「収入の壁」
健康保険上の扶養と所得税法の扶養親族の2種類があることを解説しましたが、被扶養者がパートやアルバイトをしてはいけないわけではありません。
被扶養者の状態を維持しながら働く際に重要になるのが、「収入の壁」の存在です。
1. 社会保険上の壁
年間106万円以上の収入があった場合で、一定の条件を満たす場合には、社会保険への加入が義務付けられています。※1
2. 税法上の壁
パートやアルバイトの方の場合、控除されていない総支給額(額面金額)が100万円を超えると住民税が、103万円を超えると所得税が課せられます。※1
【参考】看護師のアルバイトを始める前に知っておきたい「収入の壁」
※1. 対象となる期間は、その年の1月1日から12月31日まで
アルバイトを始める前のチェックポイント
扶養の範囲内でアルバイトを始めようと考えている場合、まずは今年の自身の収入を確認することが大切です。
1. 今年の収入を確認
今年になってから単発のアルバイトを含め、いくら収入があったのか確認しておくことが重要です。今年の収入の金額と「壁」の金額の差を把握しておきましょう。
2. (配偶者の場合)配偶者手当の基準
扶養者の勤務先で「配偶者手当」が支給されている場合には、その基準を確認しましょう。配偶者手当の支給条件は、会社により異なりますが、所得税の壁と同様「103万円」に設定されているケースが多いようです。
単発のアルバイトなら収入の調整がしやすい
チェックポイントを確認したら、扶養の範囲内で働ける求人を探していきますが、定期的な勤務を始めると、思うように収入をコントロールしにくい場合もあります。
そこで活用したいのが、単発のアルバイト。1日単位で働くことができるため、状況に応じて勤務日数を調整しやすいのがメリットです。
看護師さんの場合、単発のアルバイトを探す際には専門のコーディネーターに相談するのがおすすめです。勤務日数や一回あたりの給与を相談しながら、最適な勤務先を探すことができます。
コーディネーターに相談すれば、残業の有無など、勤務先に直接聞きにくいことも確認・交渉してくれるため、扶養の範囲内で働きたい方にとっては、心強い存在になるはずです。
コーディネーターは無料で利用できるので、まずは気軽に相談をしてみてはいかがでしょうか。