「物の値上がりや将来の年金不安に備えて、投資を始める人が増えている」と、ニュースなどで見聞きしたことのある看護師さんも多いのではないでしょうか。
金融庁が発表した2022年時点のデータによると、NISA口座数は約1,804万口座と、2021年の1,765万口座から約40万口座増加しており、投資商品の買付額も2021年の25兆5,400億円から30兆7,400億円と大幅に増えています。
多くの人が関心を寄せているNISAは、投資による利益が非課税になる税優遇制度。2024年1月からは現在のNISAを拡充した新しいNISA制度もスタートする予定です。
そこで今回は、新NISA制度の概要と2023年までの現行のNISA制度との違いについて解説します。
2024年1月以降に新しくなるNISAとは?
NISA(ニーサ)は、正式名称を「少額投資非課税制度」と言い、株式・投資信託などの保有・売却によって得た利益(売却益、配当金、分配金など)に課せられる税金が免除される制度です。
現行のNISAには、株式や投資信託の随時売買に向く「一般NISA」と、投資信託を使用した長期の資産形成に向く「つみたてNISA」があり、それぞれに非課税期間と投資の上限額が定められています。
2024年1月から始まる新しいNISA制度では、現在のNISA制度が次のように変更・拡充されます。
制度が期限なしの恒久化。一般投資枠とつみたて投資枠も併用可能に
新NISA制度では、従来のNISA制度に設けられていた非課税投資期間(終了後は「ロールオーバー」と呼ばれる継続手続きが必要)がなくなり、無期限で利用できるようになります。
また、どちらか一方しか利用できない「一般NISA」と「つみたてNISA」も一本化され、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」として併用可能に。
2023年までのNISA制度と比較すると、積極投資と長期分散投資のどちらにも対応しやすく、より自由度の高い投資ができるようになっています。
年間の投資上限額が「一般型」は2倍、「つみたて型」は3倍にアップ
2023年までのNISA制度では、年間の投資額の上限が一般NISAは120万円、つみたてNISAは40万円に設定されています。
2024年以降は、この年間上限額が成長投資枠は240万円、つみたて投資枠は120万円と、それぞれ現行制度の2倍、3倍にアップ。
並行して、一人あたりの「生涯非課税限度額」が設けられ、18歳以上から生涯で最大1,800万円までの投資枠を利用できるようになります。
この生涯非課税限度額は投資商品を売却することで復活し、再度の枠利用が可能です。
新NISA制度のまとめ
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税期間 | 無期限 | |
非課税限度額 | 1,800万円(内、成長投資枠は1,200万円まで) ※商品を売却した場合は非課税枠を再利用できる |
|
口座開設 | 随時 | |
投資対象となる金融商品 | 金融庁認可の長期分散投資に適した投資信託(つみたてNISA対象ファンドと同様) | 投資信託および上場株式 |
買付方法 | 積立投資 | 規定なし |
対象年齢 | 満18歳以上 | |
現行のNISA制度からの切り替え | 購入済の「一般NISA」「つみたてNISA」商品は、2023年までの制度内(新NISA制度とは別枠)で非課税措置を適用 ※新NISA制度へのロールオーバーは不可 |
新しいNISA制度を活用するには
2024年から新しくスタートするNISAは、長期分散投資と短期投資のどちらもが拡充され、投資をスタートする人が自分に合った方法で資産形成をしやすくなっています。
NISAを始める際は、証券会社や銀行でNISA口座を開設する必要があるため、NISAを検討している場合は早めに口座を作っておくと良いでしょう。
2023年中の口座開設では、最初に「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらかを選択する必要があります。初めて投資をする場合は、月額1万円程度の少額からの積立投資がおすすめです。
貯金だけでは物価上昇や将来への備えに不安を感じている看護師さんは、今回ご紹介した現行のNISA制度と2024年からの新しいNISA制度の概要を参考に、投資を検討してみてはいかがでしょうか。