「WOC看護師」あるいは「WOCナース」という言葉を見聞きしたことのある看護師さんも多いのではないでしょうか。
WOCは、「Wound(Wound:創傷=きず)」「Ostomy(Ostomy:ストーマ=人工肛門、人工膀胱)」「inContinence(失禁=尿や便の漏れ)」の頭文字を取ったもの。
特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を持つ「認定看護師」の中でも、皮膚・排泄ケア分野の認定資格を持つ看護師を指します。
そこで今回は、現場でのニーズが高まっているWOC看護師について、役割と資格取得までの流れを解説します。
医療・介護現場でのニーズが高まるWOC看護師とは?
WOC看護師は、正式名称を「皮膚・排泄ケア認定看護師」と言います。
日本創傷・オストミー・失禁管理学会では、WOC看護師が現場で担う役割を以下のように紹介しています。
【W(Wound)= 創傷(きず)】
皮膚のトラブル・創傷の発生予防。皮膚を健全に保つスキンケアの実施。創傷を治すための生活環境や局所(傷そのもの)の環境、寝具まわりの環境を整える。
【O(Ostomy)= ストーマ(人工肛門、人工膀胱)】
ストーマケアについての情報提供。ストーマ保有者のストーマ周囲皮膚の管理、ストーマ装具の選択、日常生活のアドバイス、精神的なサポートなど。
【C(inContinence)=失禁(尿や便の漏れ)】
病気や手術後、加齢によって発生する尿や便失禁の改善を促すケア。失禁による皮膚のかぶれに対する予防や改善のためのケア。
また、WOC看護師は、これらの皮膚・排泄ケアに加えて、医師や看護師からの相談を受けたり、ケア方法の指導をしたりする役割も担っています。
WOC看護師の資格を取得するメリット
WOC看護師の資格を取得するメリットとしては、主に以下の3点が挙げられます。
・収入のアップ
・転職する際に有利
・看護師としてのキャリアアップ
WOC看護師が担うスキンケアや排泄ケアは、診療科を問わず多くの患者さんに必要とされます。
医療機関はもちろん、介護施設におけるニーズも非常に高く、収入面や転職の上でも有利と言えるでしょう。
また、特定分野での高度な知識・スキルを持つことは看護師としてのキャリアアップにもつながります。
WOC看護師になるデメリット
反対に、資格取得には以下のようなデメリットも存在します。
・認定看護師を取得するためのハードルが高い
・資格取得後も定期的な更新が必要
WOC看護師をはじめとした認定看護師になるには、日本看護協会が指定する教育機関で研修を受け、認定審査にパスする必要があります。
資格取得後も5年ごとに更新手続き(書類提出と更新料)が必要となるため、WOC看護師としてキャリアを築いていく覚悟が求められるでしょう。
WOC看護師になるには?
認定看護師になるには、日本看護協会が指定する教育機関に入学し、研修を受ける必要があります。
入学にあたっての要件もあるため、自分が該当するかを確認しましょう。
1.入学要件を確認する
【A/B共通】
看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)
【A課程】※2026年度をもって終了
1)通算3年以上の外科系領域またはストーマケアを行う病棟・外来・在宅ケア領域での看護実績
2)ストーマ造設患者の看護を1例以上、及び創傷または失禁ケア領域の看護を4例以上担当
3)創傷ケア、ストーマケア、または失禁ケアを行う病棟・外来・在宅ケア領域で勤務中
【B課程】※2020年より開始
1)通算3年以上の皮膚・排泄ケア領域における看護実績
2)皮膚・排泄ケア領域における看護5例以上の担当実績。ただし、創傷、ストーマ、排泄管理の事例を各1例以上含む
3)皮膚・排泄ケア領域における看護を行う臨床現場に勤務中
2.認定看護師の教育機関に入学し、必要なカリキュラムを修了する
【A課程】福岡看護協会(5月~12月開講、8か月間・645時間~)
【B課程】日本看護協会看護研修学校、静岡がんセンター認定看護師教育課程、京都橋大学看護教育研修センター(いずれも4月~3月開講、12か月間・808時間)
3.WOC看護師の認定審査を受ける
「資格認定制度 審査・申請システム」から審査申請し、四肢択一・マークシート方式の筆記試験(100分間)を受験する。
審査料は51,700円(税込)
4.WOC看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師)として登録
「資格認定制度 審査・申請システム」のページから手続き。
B課程の合格者はB課程認定看護師名簿に登録され、「特定認定看護師」となる。
5年ごとに資格更新のためWeb手続きおよび審査書類の提出をおこなう。
更新審査料は30,800円(税込)
いかがでしたでしょうか。認定看護師に興味のある方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。