新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、コロナ感染者への対応や院内感染防止など、看護師さんの多くは以前よりも業務上の負担が増えています。
「危険手当(特殊勤務手当)」とは、コロナの危険と隣り合わせで働く看護師さんを待遇面から支える制度の一つ。
コロナ感染者の治療や検査に当たる医師・看護師に対して、1日あたり決まった額の上乗せ金が支給されます。
夜勤バイトで働く看護師さんにとっても医療機関のコロナ対応や、それに伴う危険手当の有無は気になるポイントでしょう。
そこで本記事では、看護師さんの危険手当について、東京都のケースを例に取った制度の解説と、日本看護協会の調査結果をもとにした実際の支給額を解説します。
看護師さんの危険手当の有無&金額は自治体・医療機関によって異なる
危険手当(特殊勤務手当)は、政府が定める「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)」等の一貫として地方自治体に要請された事業の一つです。
危険手当を支給する医療機関は、地方自治体に申請することで補助金の支給を受けることができ、それをもとに現場の看護師さんたちに危険手当を支払います。
ただし、補助金の支給要件を満たさない医療機関や、人員不足・知識不足等で申請手続きが困難な医療機関では、自治体への申請ができず、危険手当がない場合もあります。
また、支給額についてもそれぞれの自治体や医療機関の裁量に負う部分が大きく、地域・病院によってばらつきがあります。
東京都のケースで見る看護師さんの危険手当
具体例として東京都が実施する危険手当の制度を見てみましょう。
名称 | 医療従事者特殊勤務手当支援事業 |
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内容 | 新型コロナウイルス感染症患者等の診察や治療に携わる医療従事者に支給する特殊勤務手当にかかわる経費を補助 |
補助基準額 | 医療従事者(1人1日あたり):5,000円 |
対象施設 | 東京都感染症診療協力医療機関・地域外来・検査センター、新型コロナウイルス感染症患者の入院医療または感染が疑われる患者の経過観察入院を行う医療機関 |
実施期間 | 令和4年4月1日から令和4年9月30日まで |
危険手当の実際の支給金額は?
それでは、実際にどの程度の看護師さんが危険手当をもらっているのでしょうか。
公益社団法人 日本看護協会が実施した「看護職員の新型コロナウイルス感染症対応に関する実態調査」(2020年)をもとに見てみましょう。
危険手当が支給された看護師さんは45.2%、金額は6割が3,000円未満
【危険手当の支給の有無】
支給された | 22.7% |
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支給されなかった | 45.5% |
今後支給される予定 | 22.5% |
無回答 | 9.3% |
【危険手当の額】
1,000円未満/日 | 30.0% |
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1,000~3,000円未満/日 | 32.5% |
3,000円以上/日 | 37.4% |
危険手当の支給の有無は、「支給されなかった」と回答した看護師さんが全体の45.5%ともっとも多くなりました。
ただし、「支給された」「今後支給される予定」を合わせると45.2%とほぼ同割合の看護師さんは危険手当を支給されています。
調査が2020年であり、その後も行政の支援事業が継続していることを踏まえると、この割合は高くなっていくことも予測されます。
支給額については、「3,000円以上/日」が37.4%ともっとも高かったものの、6割の看護師さんは1日あたり3,000円未満となっています。
https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/covid_19/research/pdf/indiv_research2020.pdf
まとめ
2022年9月時点では、第7波は収束の兆しを見せはじめているものの、新型コロナウイルスそのものはまだ猛威を振るっており、油断のできない状況が続きます。
夜勤バイトを検討している看護師さんは、新型コロナウイルス感染症の患者さんを見る可能性があるかどうかや、危険手当の有無・支給額を事前にチェックしてみましょう。
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