これから出産を控えている看護師さんの中には、「今の勤務先で育休は取れるのかな?」と不安を抱いている方もいるかもしれません。また、「そもそも育休ってどんな制度なの?」と疑問を抱いている方もいるでしょう。
そこで今回は、看護師さんが安心して出産・復帰するために覚えておきたい育休制度の基本をわかりやすく解説します。安心して出産をするために、事前に育休についての理解を深めておきましょう。
育児休業とは 育児休暇と何が違うの?
はじめに、「育児休業」と「育児休暇」は別のものであることを理解しておくことが大切です。それぞれの特徴をみてみましょう。
1. 育児休業とは
「育児休業」は、「育児介護休業法」に基づく制度です。育児休業中は、申請を行うことで雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。
給付金の対象期間は、子供を出産した日からその子が1歳の誕生日を迎える前日まで。つまり最大で1年間、育児に専念しながら給付金を受け取ることが可能です。給付金の金額は、以下の計算式により算出されます。
【出産後180日まで】
育児休業開始時賃金日額(※)×支給日数×67%
【出産後180日以降】
育児休業開始時賃金日額(※)×支給日数×50%
(※)育児休業開始前6か月間の、賞与を除く総支給額を180で割った金額。
ただし、産前産後休業後に育児休業を取得する場合は、出産日から起算して58日目からが対象になります。
【参考】妊娠がわかったら 看護師さんが覚えておきたい産休の基礎知識
また、以下のケースでは育児休業の延長もしくは子供が1歳になった時点で配偶者が代わりに育児休業を取得することが可能です。
・保育所に入所希望だが、それができない場合
・子の養育を行う配偶者で、1歳以降に子を養育する予定だった人が死亡・負傷・疾病などの事情で子を養育することが困難になった場合
2. 育児休暇
一方、育児休暇は法的な制度ではなく、あくまでも「休暇」です。そのため、育児休暇の取り扱いについては、勤務先の病院・クリニックにより大きく異なります。事前に制度の有無・取得できる期間を確認しておくのが良いでしょう。また、育児休業とは異なり、育児休暇中は無給となるケースも少なくありません。
「仕事には復帰したいけど、もう少し子育てに専念したい」という方が、育児休業の期間後に育児休暇を取得するケースが多いようです。
なお、育児休暇中でも、週に20時間以内であれば就労することができます。「収入面で不安がある」「勘を鈍らせたくない」という方は、無理のない範囲で就労してみるのもいいでしょう。
育児休業の申請は忘れずに早めに行う
育児休業の申請は「出産が早まった」などの特別な事情がない場合、育休期間開始の1ヶ月前までに申請を行います。
また、育児休業給付金の支給申請は、2ヶ月ごとに行うことが必要です。申請は、勤務先の病院・クリニックが行ってくれるケースと、自身で勤務先所在地管轄のハローワークに必要書類(育児休業給付金支給申請書・育児休業給付受給資格確認票)を提出するケースがあります。産休・育休の申請時に、給付金の申請方法について確認をしておきましょう。
看護師の仕事復帰に向けて準備を進める
育休後に看護師として復帰を目指している方は、最新の情報を集めたり本を読んだりと無理のない範囲で、育児の合間に少しずつ準備を進めておくのもいいでしょう。また、以下の項目もチェックしてみてください。
勤務先の病院・クリニックに「いつから復帰するか」を伝える
保育園への送り迎えは誰が担当するのか
保育園から勤務先までの交通手段とかかる時間
看護師の仕事が入っている間(特に夜勤の時)は誰が子供の面倒を見るのか
食事や掃除、洗濯などの家事の役割分担
仕事中に搾乳器を使用する場合の搾乳手順
また、勘を取り戻すために育児休暇中に看護師の単発アルバイトを活用するのもおすすめです。1日から勤務できるため、自分のペースで完全な仕事復帰に向けて準備ができるでしょう。
【参考】
・厚生労働省 育児・介護休業法について