子供の病気は、子育ての中の大きな心配ごとの一つ。特に抵抗力の弱い乳幼児の場合は、体調を崩しやすく、病院を受診する機会も少なくないでしょう。
これから出産を控えている看護師さん、すでに子育て中の看護師さんの中には「子供の医療費はどのくらいかかるのだろう?」と不安を抱いている方もいるかもしれません。
そこで今回は、子育て支援制度の一つ「子ども医療費助成制度」について解説します。
子ども医療費助成制度とは?
「子ども医療費助成制度」とは、患者負担分の医療費を地方自治体の公費で助成する子育て支援事業です。
この制度は、診察を受けられずに亡くなる子どもを救う目的から、1961年に岩手県で始まりました。
その後、1970年代前半に全国に広がりをみせ、2012年にはすべての市区町村で助成制度が行われるようになりました。
自治体によって名称は異なり「小児医療費助成制度」「乳幼児医療費助成制度」などとも呼ばれます。
医療費助成の対象者は?
自治体の医療費助成制度は、各区市町村に居住し、健康保険に加入している0歳から15歳(中学を卒業するまで)の子供が対象です。
注意したいのは、助成の対象者は子供ですが、助成資格を持つのはあくまでも養育者(父母等)という点です。そのため、養育者の所得などによっては助成の対象外となるケースもあります。詳細な条件は、各自治体へ問い合わせてみましょう。
助成範囲は?
助成範囲は、入院・通院・歯科及び調剤等にかかった医療費の健康保険適用分にかかる自己負担額の全部または一部が対象です。
現行の公的医療保険制度で支払う自己負担率は、小学校入学前までの子どもが2割、小学校入学後は3割とされています。その自己負担率で算出された自己負担額を、さらにカバーします。
ただし、健康診断・任意の予防接種・薬の容器代・入院時の差額ベッド代などの健康保険適用外となる費用は助成の対象外です。(自治体によっては独自に助成する場合もあり)
医療証(受給券)について
医療証とは、医療費助成対象者であることを証明する証です。
医療機関へ通院または入院する際や、院外処方せんにより保険薬局で薬を受け取る際に、健康保険証とともに窓口へ提示します。
病院や薬局等でその都度提示を求められるため、健康保険証と一緒に携帯しておきましょう。
申請に必要な書類は?
子ども医療費助成制度の申請には、以下の書類が必要です。(東京都大田区の例)
・子どもの健康保険証
・申請者の個人番号(マイナンバー)がわかるもの
・申請者の印鑑
・(代理人が申請する場合は)委任状
※保険証の提出期限・申請の条件・提出書類は、自治体によってそれぞれ異なります。
*東京都大田区の例「https://www.city.ota.tokyo.jp/download/kodomo/kodomoiryouhi.html」
子どもの健康保険証は、申請から6か月以内であれば後日の提出も可能です。6か月を過ぎてしまうと、保険証提出前期間の助成は除外されます。申請時に保険証の発行が間に合わなかった場合は、後日忘れずに提出しましょう。
医療証が使用できない場合の“還付払い”
居住する都道府県外の病院を受診した時や、医療証を忘れてしまった時は、その場で助成が受けられません。
その場合、一度自己負担分を全額支払い、後日自治体窓口へ申請することで払戻しされます。
これを「還付払い」と言います。還付払いには、病院や薬局で受け取った領収書(原本もしくはコピー)が必要になるため、必ず保管しておきましょう。
医療費助成制度は、子供の健康を守り、子育てによる不安を少なくするための大切な子育て支援事業です。
普段から医療現場で働く看護師さんであっても「自分の子どもが体調不良の時には慌ててしまう」という方も少なくないはず。
いざと言うときにスムーズに医療費助成を受けられるよう、今回解説した内容を理解して申請を済ませておきましょう。