日常生活にも大きな影響を及ぼす、つらい腰の痛み。国内の業務上疾病のうち、腰痛は全体の60%を占めているとされています。
さらに、看護師さんを含む保健衛生業の職場における腰痛の発生率は約8割。
実際に看護師さんの5〜7割が腰に痛みを抱えているという調査結果もあり、腰痛は看護師さんの職業病といっても過言ではない現状があります。
これまでに、つらい腰痛に耐えながら仕事をした経験がある看護師さんも少なくないはず。
そこで今回は、看護師さんが腰痛になる原因と予防法について解説します。
腰痛の心配をせずに働ける環境を整えていきましょう。
腰痛の原因
日本看護協会では、看護師さんの腰痛の原因を主に以下の4つに分類しています。それぞれ詳しく見ていきましょう。
動作要因
看護師さんの業務は、患者さんを抱え上げたり、中腰姿勢のまま作業をしたりと、不自然な姿勢のまま行うものが多いのが特徴です。
このように、腰に負担のかかる不自然な動きを日常的に行うことが腰痛の原因の一つとなっています。
環境要因
作業空間の温度が適切でなかったり、照明が適切な明るさに保たれていなかったりなどの作業環境の不整備が要因で、腰痛を引き起こしてしまうことも。
特に「冷え」は、腰痛に直結する要因です。衣服や暖房設備等で適切な温度を保つように意識しましょう。
また、看護師さんは夜勤などで生活リズムが不規則になることも多い職業。
体がしっかりと休まらない状態が続くと、腰の痛みが出てくることがあります。
個人的要因
腰痛のなりやすさには、年齢や体格などの要因によって個人差があります。
例えば、年齢を重ねて筋力が落ちている方や、勤続年数が長く、腰に負担が蓄積されている方の場合、腰痛を引き起こす可能性がどうしても高くなってしまいます。
心理的要因
心理的要因とは、ストレスからくる腰痛のことです。
最近では、ストレスによる自律神経の乱れから、腰痛をはじめとする身体的な不調が現れる方も少なくありません。
ストレスを溜め込むと、腰痛以外にも睡眠障害や頭痛などの不調につながることもあるため注意が必要です。
腰痛の予防法
腰痛を防ぐためには、なるべく日頃から腰に負担をかけない働き方を意識することが大切です。
ここからは、看護師さんが職場で意識したい腰痛の予防方法をチェックしてきましょう。
腰痛予防には、長時間同じ姿勢でいないことが重要
「立ちっぱなし」や「座りっぱなし」のように同じ姿勢で長時間過ごすと、腰回りの血液循環の悪化や筋肉の硬化につながり、腰痛が発生するリスクが高まります。
仕事の合間に、腰椎とつながりのある骨盤を意識的に動かしたり、ストレッチしたりと体をこまめに動かすことを心掛けましょう。
腰に負担をかけない職場環境の整備
腰に負担をかけない職場環境の整備も大切です。
特に、腰に負担がかかりやすい介助の作業環境には注意が必要。
ベッド周りの空間が狭いと、ひねる、前傾姿勢になるなど腰に負担がかかりやすくなります。
介助をする際は、ベッドの高さを適切な高さに上げたり、ベッドの周辺に十分な空間を保つよう心がけましょう。
専用の補助道具を積極的に活用するのも効果的な腰痛予防の一つです。
腰への負担を配慮した「ノーリフトケア」を実施している施設もある
腰痛の有無は、看護師さんの離職意向にも影響しているというデータがあります。
慢性的な腰痛に悩まされている方や、腰への負担が気になる方は、無理をせずに「ノーリフト」という考え方を取り入れている医療機関や施設への転職を検討するのも一つの手です。
「ノーリフト」とは、医療や介護の業界における職員の腰への負担に配慮すること。
ノーリフトを取り入れた職場では、福祉用具や介助器具の導入により、人の力で患者さんを移動させる機会をなるべく減らし、職員の身体的負担を軽減するような対策が行われています。
ただし、数多くある医療機関や施設から、そのような職場を探すのは簡単なことではありません。
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ぜひサポートの活用も検討してみてください。