少人数体制で行う夜勤で、多くの看護師さんを悩ませるのがナースコール対応です。静かなはずの夜間に次々と鳴り響くコールに追われ、仮眠も取れずに疲弊する。こうしたナースコール地獄は決して特別なことではなく、多くの現場で起こっている深刻な課題です。
今回は、なぜ夜勤にナースコールが集中しやすいのか、その背景と回避するための対策をご紹介します。
なぜ夜勤はナースコールが多くなる?
夜勤中にナースコールが多くなるのには、いくつかの理由があります。ここでは、患者さんの心理状態や夜勤ならではの体制が、なぜコールの頻発につながるのかを解説します。
夜間帯は患者さんの不安が高まりやすい時間
夜間は病棟全体が静まり返り、照明も落とされることで、患者さんにとって不安を感じやすい環境になります。さらに、日勤帯と比べてスタッフの数が少ないため、周囲に人の気配を感じにくく、ちょっとした体調の変化や不快感にも過敏になりがちです。
その結果、「誰かに確認してほしい」「そばにいてほしい」という気持ちから、ナースコールを頻繁に押す傾向が強まります。
夜勤の少人数体制が負の連鎖を生む要因に
夜勤は日勤に比べて看護師の配置が少ないため、一人ひとりの対応に時間がかかりやすくなります。患者さんは「まだ来てくれないのか」と不安や焦りを募らせ、再度ナースコールを押してしまうことも。その積み重ねが現場をさらに混乱させ、看護師さん側も対応に追われて疲弊するという悪循環を引き起こします。
「ナースコール地獄」が引き起こす悪循環とは?
ナースコールが頻発する状況が続くと、看護師自身の心身にも深刻な影響を及ぼします。仮眠不足やストレスが引き起こす悪循環について見ていきましょう。
仮眠不足・判断力低下による業務リスクの増加
夜間にナースコールが頻発し、対応体制が整っていないと、仮眠を取る時間が確保できず、看護師さんは慢性的な睡眠不足に陥りがちです。十分な休息が取れないと集中力や判断力が低下し、確認漏れや手順ミスなど、ヒヤリハットが起きやすくなります。
慢性的なストレスとメンタル不調の原因に
ナースコール対応が過剰になると、常に緊張を強いられる状況が続き、心身ともに疲弊しやすくなります。小さなストレスの積み重ねが限界を超えると、「もう無理」と感じる瞬間が訪れ、離職やバーンアウトといった深刻なメンタル不調につながることも少なくありません。
夜勤看護師さんが実践できる「ナースコール対策」
ナースコールの負担を少しでも減らすためには、日々の業務の中で実践できる工夫が欠かせません。ここでは、夜勤中に看護師さんが取り入れやすい具体的な対策を紹介します。
患者さんとの事前コミュニケーションを重視
患者さんとの丁寧なコミュニケーションは、ナースコールの頻発防止に効果的です。就寝前に体調や不安を確認し、必要に応じて声をかけるだけでも安心感が生まれます。特に頻回にコールを押す方には、対応のタイミングを工夫することで「呼ばなくても来てくれる」という信頼につながり、無用な呼び出しを減らせます。
チームで支えあう体制をつくる
ナースコールの負担を軽減するには、一人で抱え込まず、チームで支え合う体制づくりが重要です。勤務前のミーティングで注意が必要な患者さんの情報を共有し、業務を分担することで効率的な対応が可能になります。
記録や対応履歴の活用
日々の記録や対応履歴を活用し、ナースコールの傾向を把握することが効果的です。特定の時間帯や症状で繰り返されるコールには、事前の声かけやケアで不安を和らげることができます。また、過去の履歴をもとに優先的に対応すべき患者さんやタイミングを見極めれば、無駄な動きが減り、全体の業務効率も高まります。