看護師さんの中には、訪問看護のアルバイトを選択肢に入れるべきか迷う方も少なくありません。訪問看護の仕事は「普段の看護師業務とかなり内容が違うのでは?」と考えている方もいるでしょう。
そこで今回は、訪問看護での看護師さんの業務内容を解説した上で、アルバイトをする前に知っておきたいポイントを紹介します。
訪問看護の仕事は、患者さんの自宅に出向き、じっくりと患者さんと向き合えるため、病院の業務とは異なるやりがいを感じられる点が大きな魅力です。ぜひこの記事を通して理解を深め、訪問看護をアルバイト先の選択肢にしてみてはいかがでしょうか。
そもそも訪問看護とは?
訪問看護は、看護師さんが利用者の自宅を訪問し、看護やリハビリ・必要な医療行為を行うサービスです。
医療に対する国の方針により「住み慣れた環境で最期を看取る」ためのサービスを提供することが医療関係者に求められています。そのような中で「住み慣れた自宅で療養したい」と、訪問看護を希望する患者さんが増えてきました。
患者さんが訪問看護を利用する場合には、医療機関や訪問看護ステーション・地域包括支援センター・市区町村の担当窓口などに相談を行い、保険制度の違いに関わらず、必ず主治医から訪問看護事業所宛ての「訪問看護指示書」を発行してケアプランなどが決定されます。
訪問看護師の1回の訪問時間は30分〜1時間が多く、その方のケアプランに応じて時間が変わります。利用者本人やそのご家族の方の希望や状態によっては訪問頻度が変わることもあります。
「高齢の方が多そう」とイメージする方もいますが、訪問看護は小児から高齢者まですべての年齢の方を対象としています。
訪問看護における看護師さんの業務内容
では、訪問看護では具体的にどのような業務が伴うのでしょうか。
1. 利用者の健康管理
患者さんの健康状態の観察・服薬管理を行うのが、訪問看護における看護師さんの主な業務です。バイタルチェックや清潔ケア、リハビリなどを行い記録に残します。
さらに、主治医の指示のもと医療処置(服薬管理やインシュリンの注射・点滴・血糖値の測定など)を行うケースもあります。
2. 緊急時の対応(オンコール対応)
利用者の容態が急変した際などに緊急時対応(オンコール対応)を行うのも、訪問看護で働く看護師さんの役割です。オンコールは夜間や休日に交替で担当します。看護師さんは所定の場所で待機をし、コールを受けたら利用者からの電話相談に対応しますが、状態に応じて緊急で訪問し対応することもあります。
訪問看護のアルバイトをする際のポイント、注意点
では、訪問看護のアルバイトをする上で、どのような点に留意しておく必要があるのでしょうか。
1. 一人で訪問することが多く経験が求められることも
訪問看護の仕事は、一人で患者さんの自宅を訪問するケースも多いため、ある程度の看護師経験を要する求人も少なくありません。適切な観察力や判断力、アセスメント力が求められる現場であることは覚えておきましょう。
2. 密に連携を取る
訪問看護の仕事では、通常の業務以上に「連携」が求められます。主治医、ケアマネジャー、薬剤師など、適切に相談・報告することも重要です。「このような時は誰に確認すべきか」をあらかじめ確認しておき、スピーディかつ適切に相談・報告を行うように心がけましょう。
3. 利用者とのコミュニケーションが大切
利用者やご家族にとって、定期的に訪問をしてくれる看護師さんは、心強い存在です。そのため、利用者にとって「信頼できる存在」でなくてはなりません。日頃からコミュニケーションを大切にし、患者さんのちょっとした変化にも気付けるように意識しましょう。
4. 求人内容を入念にチェックする
勤務の時間帯などの基本的な情報に加え、「オンコール対応があるか」「看取りの対応があるか」といった業務内容にもしっかりと目を通しましょう。また、訪問看護の仕事では患者さんの自宅に向かうため、自動車免許が必要なケースがあります。事業所から近隣の訪問では、自転車を利用するケースも多いようです。
5. 教育体制や研修制度があるか
事業所によってはインターネット学習であるe-ラーニングを活用した学習プログラムや研修センターでの訓練などもあります。事業所によって異なるため、あらかじめ教育体制を確認しておくと安心です。
もし、訪問看護のアルバイトを始める際に不安な点がある場合には、看護師専門のコーディネーターに相談してみるのもいいでしょう。自分に合った求人を紹介してくれるだけでなく、事前に業務内容についてもしっかりと確認することができます。不安を解消した上で、訪問看護の仕事に挑戦してみてはいかがでしょうか。
【参考】
・日本訪問看護財団「訪問看護とは」