高齢者施設(介護施設)で夜勤バイトをする場合、急変時の対応に不安を感じる看護師さんは少なくありません。
一般病棟と比較すると、生活の場である高齢者施設では急変が発生する頻度は低くなりますが、医師が不在で看護師に判断が任されるケースもあるため、日頃から急変時のフローを十分把握しておきましょう。
今回は、夜勤バイトの看護師さんが知っておきたい高齢者施設の急変対応について解説します。
それぞれの施設の救急対応マニュアルをチェックしよう
急変時の対応は、介護施設ごとにマニュアルが用意されているのが一般的です。
まずはその内容を確認し、内容を把握しておきましょう。
ここでは、東京都のガイドラインをもとに、代表的な急変時の対応を紹介します。
まずは対応全体をフローチャートとして頭に入れておく
各施設の急変対応マニュアルを確認する際は、取るべき行動をフローチャートで理解できていると迷わずにすみます。
フローチャートとは、「Aに対して”YES”であればBの行動を、”NO”であればCの行動を取る」といった具合に、条件によって取るべき行動を決めたチャートのことです。
2.予測されていた状態に対してかかりつけ医の指示があるか?(YES→4. NO→3.)
3.かかりつけ医に連絡し、指示を受ける(4.または5.)
4.かかりつけ医の指示の通りに対応する(または5.)
5.救急要請(119番通報)を行う
このように対応の手順を決めておけば、急変の際も慌てることなく、次の行動や、かかりつけ医に指示を仰ぐケースなどを確認できます。
それでは、上記のチャートを元に、入所者の具合が悪くなった場合の急変対応事例を見てみましょう。
入所者の具合が悪くなった場合の対応
入所者の具合が悪くなった場合は、まず、その状態が事前に予測されたものかどうかを確認します。
予測された急変であり、事前にかかりつけ医と相談ができている場合は、指示に従って急変対応を行いましょう。
入居者の急変が予測された状態とは異なり、対応が不明な場合は、かかりつけ医や協力医療機関に指示を仰ぐのが先決です。
かかりつけ医に連絡が取れなかった場合の対応についても、事前に必ず確認しておきましょう。
また、急変対応をおこなったあとの報告(施設長への連絡etc.)や、入所者家族への伝達についても忘れずに対応しましょう。
救急要請(119番通報)をするときの対応
かかりつけ医に連絡がつかなかった場合や、かかりつけ医からの指示があった場合は、救急要請を行うケースもあります。
119番に通報する際の応答例を頭に入れておきましょう。
施設の名称と住所、電話番号はすぐにわかるところに記載しておくと安心です。
通報者「救急です」
消防庁「住所をお願いします」
通報者「〇〇区△△町✕-✕-✕ □□ホームです」
消防庁「どうしましたか?」
通報者「○歳(性別)の入居者は、意識がありません」
また、救急隊の指示に従って応急手当を行う場合があるため、AEDの設置場所を把握しておきましょう。
通報と応急手当が終わったら、救急要請をした事実を事務所や守衛に伝え、必要であれば誘導をしてもらうように依頼します。
救急車が到着するまでの間は、救急隊や搬送先の医療機関に提供する医療情報をまとめておきましょう。
具体的には、介護記録・看護記録、かかりつけ医による診療情報提供書(紹介状)、お薬手帳などを準備しておくと良いでしょう。
救急車に同乗する場合に備えて、入居者の保険証や診察券、現金などを用意しておくと安心です。
まとめ
今回は、高齢者施設での急変対応の事例をご紹介しました。
急変対応は個々の施設によっても手順が異なるため、まずは各施設のマニュアルを確認した上で、入居者自身の医療情報や、かかりつけ医の連絡先を把握し、あわてずに対応できるようにしておきましょう。