夜勤専従(夜勤のみ)の働き方を検討する際に「どの程度稼げるの?」「どんなメリットやデメリットがある?」と疑問を抱く看護師さんは多いでしょう。
夜勤の賃金額が高いことは知られていますが、具体的な金額がいくらなのか、夜勤専従で働く場合のメリット・デメリットなど、あまり知られていない事柄も少なくありません。
そこで今回は、夜勤専従看護師の賃金とメリット・デメリットについて解説します。
夜勤専従看護師は稼げる?賃金はどれくらい?
まずは、夜勤専従の看護師さんの賃金水準と夜勤手当の仕組みを求人サイトと日本看護協会の調査データをもとに見ていきましょう。
常勤でもスポットでも夜勤専従看護師の賃金は高水準
夜勤専従の看護師さんの働き方には、1施設でフルタイム勤務を行う「常勤」と、1回から数回を目途に臨時で夜勤現場に入る「単発(スポット)」の2種類があります。
首都圏の看護師求人の傾向を見ると、常勤の夜勤は月給30~40万円前後、単発は二交代制勤務で1回につき2万5,000~3万5,000円前後と、いずれも高い水準であることがわかります(※具体的な賃金額は、診療科や施設の種類・規模等により異なります)。
「夜勤手当」の中身は勤務先によって異なる
夜勤専従の賃金には、基本給に加えて「夜勤手当」が含まれます。
この夜勤手当は、1回の夜勤に対して支払われる「定額分」と、深夜時間帯(22時から翌朝5時)の実働時間に応じて支払われる「深夜割増賃金」があり、この2つを合わせて「定額の夜勤手当」として支給するケースと、深夜割増賃金と定額分を分けて支給するケースに分かれます。
1)深夜割増賃金と別に定額の夜勤手当を支払う……42.3%
2)深夜割増賃金を含めて定額の夜勤手当を支払う……46.1%
深夜割増賃金が別枠で支給される職場では、残業時の超過勤務分が夜勤手当に反映されやすいメリットがあります。
2012年の日本看護協会の調査によれば、深夜割増賃金と定額分を分けて支給する施設は全体の42.3%。
その内訳を見ると、99床以下の施設は27.8%、500床以上の施設は75.3%と、大規模な施設ほど深夜割増賃金と定額手当の混合した支給方法を取り入れています。
また、深夜割増分を除いた夜勤手当の金額は、勤務時間の長い二交代制夜勤がもっとも高くなっています。
1)三交代制準夜勤……4,399円
2)三交代制深夜勤……5,490円
3)二交代制夜勤……11,276円
このような賃金傾向から、充実した夜勤手当を希望する場合は、規模の大きい二交代制の施設が狙い目と言えます。
※『2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査報告書』(日本看護協会)【PDF】
夜勤専従で働くメリットとデメリット
高い賃金が期待できる夜勤専従勤務ですが、具体的なメリット・デメリットもチェックしてみましょう。
夜勤専従のメリット
・少ない勤務日数で高い賃金を得られる
・日勤との混合勤務ではないので生活リズムを整えやすい
・昼間の時間を活用できる
・勤務人数が限られるため人間関係の問題が少ない
夜勤専従のメリットは、高賃金に加えて、勤務日数が少なく済む点です。
生活リズムを夜勤に合わせることで、昼の時間を活用できるのも魅力の一つです。
夜勤専従のデメリット
・単発夜勤は勤務先、業務内容、現場のマニュアル等がその都度異なる
・日勤からの引き継ぎがうまくいかないと、全体の様子がわかりにくい
・昼夜逆転の生活が合わないと体調に影響する場合も
夜勤専従のデメリットは、特に単発勤務の場合、その都度勤務先が異なる点です。
業務内容やマニュアルが職場ごとに異なるため、ある程度の器用さが求められるでしょう。
また、体調面の管理も重要なポイント。
日本看護協会のガイドラインでは、夜勤専従者の夜勤時間数を月144時間以内としており、この時間を超えないよう勤務を調整することが望ましいと言えます。